| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(口頭発表) J01-04 (Oral presentation)
日本では毎年、野鳥から鳥インフルエンザウィルス(AIV)が検出され大きな社会問題になっている。新潟県では、2ヵ所の養鶏場で感染事例が発生し鶏50万羽余りが殺処分された。また、新潟市近郊では、野鳥15羽の死亡個体から高病原性AIが検出され鳥関係者がパニックに陥った。AIVの本体はRNAウィルス(AIV-RNA)である。AIVは野鳥が佐渡島や新潟市近郊に運んでくる。野鳥は年間を通じて放鳥されたトキ集団と接触するため、佐渡島内および新潟市近郊における野鳥のAIV-RNAのサーベイを実施し、AIVのモニタルングシステムを構築する。2011年1月11日新潟市近郊で実施した野鳥の糞便サンプル69検体から2検体ラインでAIV-RNAのPCR産物が検出された。しかしながら、ウィルス量は極微量であった。従来の調査では、放置された糞便が経時経過とともに鮮度の劣化、採取および保存方法が適切で無いために極微量のウィルスが分解され検出されないケースが多いと推察され、偽陰性の発生により正確な罹患率を算出する事ができないことが課題であった。本プロジェクトは、佐渡島内や新潟市近郊の野鳥組織(気管、腸管、糞便)からAIVの有無を判定する。組織から直接RNAを精製する過程はP2実験室内の安全キャビネット内で実施した。従来のウィルスの分離及び増殖させる操作は実施しない。 プライマーは抗原亜系に関係なく幅広くAIV-RNAを検出できるM蛋白質をコードする遺伝子をデザインした。RNAの分離は野鳥の組織からTRIzol試薬で精製した。RT反応のプライマー(Uni 12 5’-AGCRAAAGCAGG- 3’)を使用し、RTaseはSuperScript Ⅲを用いた。 Uni 12プライマーを用いることでAIVを構成している8セグメントのAIV-RNA遺伝子の全てのcDNA合成が出来、様々な亜型を同定する事が可能である。