| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-A-027 (Poster presentation)
切土法面における技術開発は一昔前まで,国土保全の観点から,外来植物を用いた早期緑化に注力されてきた.しかし,近年は斜面の緑化に際し「生物多様性への配慮」が求められるようになった.日本に自生するクズ(Pueraria lobata)は,旺盛な繁殖による分布拡大能力を有しており,侵入地では植生の遷移を停滞・偏向させるなど,生態系への影響が懸念される.そのため,本種は強害雑草に位置付けられ,迅速な対処と適切な管理が求められる.しかし現状,クズに対する効果的な管理手法は確立されていない.そこで本研究では,切土法面環境に生育するクズを対象に,複数の管理手法によるクズ再生抑制効果を検証するとともに,各処理が法面生物多様性にどのような影響を及ぼすかについて比較した.調査は,近畿大学農学部内のクズの優占する切土法面で実施した.縦16×横20 mの調査区内を20のプロットに分割し,各プロットの中心に1.5 m×1.5 mの方形区を設置した.5つの処理(無処理,除草剤,引き抜き,年2回刈取り,遮光)を4反復ずつ施したのち,1ヶ月半に1度の頻度で半年間にわたり,植生,徘徊性節足動物および土壌動物の調査を実施した.本報告では,試験開始から2年間のモニタリング結果について報告する.