| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-B-071  (Poster presentation)

外来キク科植物に訪花する在来昆虫の採餌様式と送粉量の関係

*坂本昂佑(筑波大・生物), 横井智之(筑波大・生命環境・保全生態)

我が国に侵入した外来顕花植物は在来昆虫を送粉者として利用している。外来植物の送粉者としては、花粉や花蜜のような花資源を利用する昆虫が考えられるが、外来のキク科植物であるハルジオンとヒメジョオンにおいては、それらの昆虫に加えて、吸汁や植物体の摂食を行なって、花資源を利用しない昆虫も多く観察されている。しかし、花資源を利用しない昆虫の送粉への関与はほとんど知られていない。そこで本研究は、ハルジオンとヒメジョオンに訪花する在来昆虫の採餌様式と送粉量の関係を調べた。まず、筑波大学構内においてハルジオンとヒメジョオンが繁茂する場所にコドラートを設置し、開花した花序上に訪れる昆虫を採集した。次に、採集した昆虫を解剖し、消化管内を確認することで採餌内容を特定した。さらに昆虫を花粉や花蜜を採餌する花資源を利用するグループと吸汁や植食を行なう花資源を利用しないグループに分けて、体表付着花粉数を比較した。そして、昆虫の体表に付着していた花粉数と体表面積から、単位面積当たりの花粉数を算出し、これを各昆虫の送粉量の指標とした。その結果、両植物には花資源利用の昆虫が計44種214個体、花資源を利用しない昆虫が計10種131個体みられ、花資源を利用しない昆虫の個体数は、種数は少ないものの全訪花個体数の1/3以上を占めていた。花資源を利用する昆虫においては、ヒメヒラタアブ属やヒラタアブ族が、花資源を利用しない昆虫おいては、ヒメナガカメムシやクロアシナガコガネがそれぞれ優占していた。花資源を利用する昆虫と利用しない昆虫の間で、体表付着花粉数に違いはみられなかった。以上より、外来キク科植物において、花資源を利用しない昆虫も送粉に関与していることが示唆された。


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