| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-B-082 (Poster presentation)
ゴール(gall)とは、虫こぶや虫えいとも呼ばれる、植物の各部の組織が異常に発育して瘤状になる現象であり、昆虫などの産卵や寄生によって生じるとされている。今回、ニレ科の落葉高木であるハルニレ(Ulmus davidiana var. japonica)の葉身上に、オカボノクロアブラムシ等が寄生することで形成されるゴール「ハルニレハフクロフシ」を対象として、ハルニレの葉身内での位置を調査した。その結果、最初にハルニレの各葉身そのものの形状については、葉身長と葉身幅の比はそれぞれ変化するが、全体の基本的な形は保持されることが分かった。そこで、葉身内におけるゴールの位置を相対化して解析した結果、ゴールは葉身内においては先端部、ついで外縁部や主脈付近に形成される傾向にあることが確認された。同じ葉身内に複数のゴールが形成される場合も含め、どのような適応的意義があるのか、ゴール形成者の生存戦略について考察する。