| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-B-094 (Poster presentation)
生態系エンジニアは様々な生物種を含み、彼らが作る構造物は多くの二次利用者を誘引することから、群集構造を決める重要な要因である。これまで、エンジニアが作成する構造物の形や改変する場所に注目して研究がなされてきたが、構造タイプの違いについての認識は十分でなく、その相対的な重要性についての理解はきわめて不十分である。本研究では陸上植物上で主要な構造物である葉を利用した重ね合わせ型 (leaf tie) と葉巻型 (leaf roll) の比較をするために、コナラに人工的な構造物を付加し、二次利用者を調査する野外操作実験を行った。
両構造物の内部を利用する節足動物の個体数や種数に有意な違いはなかったが、種組成が異なり、アザミウマは重ね合わせ型、クモやバッタは葉巻型に選好性を持っていた。さらに、葉巻型の中では葉が重なった部分の方が個体数や種数が多く、同じ構造を持つ重ね合わせ型と同様の群集が形成された。このことは構造タイプの違いにより二次利用者の選好性に違いがあることを示唆するものである。以上により、生態系エンジニアの今後の研究では、異なる構造タイプ間で効果を比較することが不可欠である。