| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-M-358 (Poster presentation)
これまで哺乳類では個々の種について研究されることが多かったが,捕食によるトップダウン効果や資源の制限によるボトムアップ効果,干渉や資源競争,環境形成による多様な相互作用など,哺乳類の種間の相互作用についての研究も重要であろう.
発表者は都市の河川敷における哺乳類群集を調査し,上流の緑地の多い景観と比較して都市河川では人間のゴミなどに依存したタヌキなどの中型の肉食性雑食者やネコなど,捕食者となりうる種の密度が高いことを明らかにした.都市分断林では,このような捕食者による森林性小型哺乳類であるアカネズミなどへの捕食圧が高まる可能性があり,都市でのゴミの増加が間接的に都市林内の森林性アカネズミの密度を抑制する可能性がある.
そこで本研究では,上記の仮説を検証することを目的に,神奈川県を中心として静岡県や千葉県の暖温帯における都市林―里山林―山地林のそれぞれ複数の森林を調査地に設定して哺乳類と鳥類による群集を比較した.
同一の地点において小型哺乳類を対象にしたシャーマントラップ調査と,中型哺乳類等を対象としたカメラトラップ調査を行った.その結果,カメラトラップ調査ではタヌキ,ネコ,アライグマ,タイワンリス,ハクビシン,ノウサギ,イタチ,イノシシ,キョン,ニホンジカ,アナグマ,ニホンザル,テンの13種の哺乳類が確認され,シャーマントラップ調査ではアカネズミが確認された.この結果をもとにアカネズミの密度に対する中型哺乳類等の影響を解析した.