| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-N-396 (Poster presentation)
タケはミャンマーの森林内において重要な構成種の一つであり、人為攪乱を受けた森林で増加している。タケの増加は森林の景観を劣化させ、森林の樹木の種多様性の低下や、森林の攪乱での回復を妨げる効果をもつため、タケの増加は問題である。一方でタケは地域住民によく利用されており、重要な生活資源となっているため、タケがよく採取される場所ではタケの個体数は反対に減少している。もちろんタケの個体数の減少は住民の生活に対して悪影響である。ミャンマーの森林内ではこの増加させようとする力と人為採取によりタケを減少させようとする力が同時に作用している。現在タケ個体群は人為的に管理されていないが、タケの過度の増加もしくは減少を避けるためにはタケの個体群を管理する技術が必要である。その確立のためにはタケの更新適地の情報が必須であろう。そこで本研究では、タケの林内の微環境に対応した更新適地を明らかにすることを目指した。研究地として、ミャンマーマンダレー管区OkeTaRa Thiri郡Moe Swe村付近で、森林の人為的攪乱とタケの人為採取を同時に受けている森林に、80×110m²の調査プロットを設置しタケと樹木種の毎木調査を行った。毎木調査では位置座標を一個体ごとに記録し、それらの空間的分布の関係を点過程解析を用いて調べた。
プロットにはCephalostachyum pergracile, Bambusa polymorpha, Dinochloa macllelandiiの三種のタケが出現し、それら三種のタケは排他的に分布しており、更新場所は種ごとに異なることがわかった。三種のタケはいずれも林冠の空いた場所を好むが、その度合いは種ごとに異なることが示唆された。C. pergracileは多様な環境下で更新することができることが示唆された。B. polymorphaは林冠の空いた場所を好んだ。D. macllelandiiの分布は地形の影響も受けており、斜面上の林冠の空いた場所で更新していた。