| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-P-431 (Poster presentation)
都市域の生態系サービス向上に関する取り組みとして、蜂蜜の供給サービス、花粉媒介の調整サービス、教育等の文化的サービスをもたらす養蜂が注目を集めており、屋上緑化においても、こうした取り組みを支える蜜源植物の導入が期待されている。屋上の薄層土壌上で植物の蜜供給と乾燥耐性を両立するためには、土壌水分量を保つ、生長を抑制するなどの方策が考えられるが、有効な方策は植物の生育型に応じて異なりうる。そこで本研究は、屋上緑化において他種の生育状況を改善するとされるCAM植物と、生育型の異なる蜜源植物の混植実験から、生育型に応じた混植効果の違いを明らかにすることを目的とした。CAM植物として、蒸散量の少ないSedum albumと、蒸散量の多いS. kamtchaticumを用いた。蜜源植物として、生育型が匍匐型のTrifolium repensと、生育型が直立型の Fagopyrum esculentumを用いた。1ヶ月間混植実験を行った結果、F. esculentumはS. albumと混植すると生育状態が改善され、これはS. albumの蒸散量が少なく、F. esculentumが利用可能な土壌水分量が増加した結果と考えられた。同時に、S. albumと混植するとF. esculentumは単植時と比較して植物体の成長が旺盛になり、開花数、結実数および蒸散量が増加することが明らかになった。また、4ヶ月間混植実験を行った結果、T. repensはS. kamtchaticumと混植すると良好な生育状態を示し、これは背丈の高いS. kamtchaticumがT. repensの生長を抑制し、生存に必要な土壌水分量を確保した結果と考えられた。以上より、混植による相互作用のメカニズムは蜜源植物の生育型によって異なることが示唆された。