| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-R-470  (Poster presentation)

ウリ科植物の巻きひげは自己・非自己を識別するか?

*佐藤美桜里, 山尾僚(弘前大学)

自他識別は、多様な分類群の様々な生物的機能において報告されている。植物では、受粉時の自家不和合性や根における自他識別、食害による揮発成分を介した自他識別が知られる。近年、新たにブドウ科ヤブガラシ属のヤブガラシの巻きひげにおいて、同種他株や別種に対しては巻きつくが、自株への巻きつきを避けるという自他識別能力が報告された。この応答によりヤブガラシは、葉や茎の重なりを軽減することで効率的な空間や光資源の利用を可能にしていると考えられている。このような巻きひげによる自他識別は、分類群を問わず他のつる性植物においても観察されると考えられる。本研究では、ウリ科ツルレイシ属のツルレイシ(ゴーヤ)7品種、キュウリ属のキュウリ2品種を用いて、巻きひげの自他識別能力の有無を検証した。巻きひげの先端に自個体の葉柄、他個体の葉柄、プラスチックの棒に接触させ、24時間後に巻きつきの程度を評価した。巻きつきの程度は、1)巻きつきなし、2)半周巻きつく、3)1周巻きつく、4)1周以上巻きつく、の4段階で評価した。その結果、少なくとも一部のウリ科植物において、ブドウ科のヤブガラシと同様の巻きひげによる自他識別が存在していることが明らかになった。これらの結果に加え、植物組織の齢が巻きひげの自他識別に及ぼす影響についても紹介し、巻きひげにおける自他識別のメカニズムについても考察する。


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