| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-A-002  (Poster presentation)

ヒメボタルの発光数における時間変動と相関(2)

*小西哲郎(中部大学)

前回に引き続き、ヒメボタル(Luciola parvula)成虫の発光活動について定量的観察を行った結果を報告する。
ヒメボタルは日本の陸地に住むホタル科の昆虫である。この種は陸生で、一生を陸上で過ごす。成虫はメス=オス間で発光による交信を行って繁殖活動をする事が知られている。

ヒメボタル成虫が複数個体で発光しているとき、その発光している個体数が数分から数十分スケールで変動することは観察者の間で経験的に知られていた。発光数の変動はメス=オス間だけでなくオス=オス間に発光による相関があることを示唆しており、その実態の解明と生物学的な意味は興味深い課題である。

前回の報告で、我々は、デジタルカメラによる静止画連写と画像処理により、発光数を定量的に測定できること、また、発行数を時系列として得ることが出来ることを示した。これは我々の知る限りヒメボタルに限らず発光生物の観察において初めてのことである。

今回の発表ではこの方法を用いてさらに観察を進め、次の結果を得た。(1)相生山緑地(名古屋市天白区)において約8時間に渡る観測を実行し、発光活動初期から終了までをデータとして得ることが出来た。これにより、前回発表した変動を含む全過程が得られた。この地区のヒメボタルが「深夜型」であることもデータとして記録された。(2)同じ方法を石垣島においてヤエヤマボタルに適用し、この種が薄暮型、すなわち、夕刻の短い間だけ発光する様子を捉えることが出来た。(3)(1)のデータに対して時間相関を得ることが出来た。


日本生態学会