| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-A-016  (Poster presentation)

スズメにおける胚の性特異的死亡と巣場所資源競争

*加藤貴大, 田辺秀之, 沓掛展之(総研大・先導科学)

スズメは他のスズメ目鳥類と比べて一腹卵の孵化率が低いことが報告されている。先行研究および発表者らの観察から、多くの未孵化卵において受精が確認されたものの、雄が胚発生早期に死亡することが分かった(胚の性特異的死亡)。さらに発表者らは、高繁殖密度下では低繁殖密度下より雄胚の死亡率が増加し、巣立ち性比が雌偏りになることを示した。そこで発表者らは、個体間の相互作用が多いほど雄胚の死亡率が増加すると予測し、親個体の行動を観察した。また、発表者らは性特異的死亡を引き起こす内的要因としてコルチコステロン(cort)が負の効果を持つと考え、卵黄や雛の糞中のcortレベルを測定した。その結果、巣場所競争が激しいほど雌親は巣場所を防衛し、雄胚の死亡率が増加した(巣立ち性比が雌偏りとなった)。また、一腹卵の胚発生率が低いほど雛の糞中cortレベルが高かった。先行研究では雌親のホルモンレベルは卵黄および雛のホルモンレベルと正に相関することが報告されている。これらの結果により、繁殖場所の巣箱競争強度が高いほどスズメの雌親のcortレベルが上昇すること、そして高cortレベルと雄胚の早期死亡の関連が示唆された。


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