| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-B-028  (Poster presentation)

ペルー山地帯の天然林と二次林における標高傾度に沿った地上部現存量と樹種組成

*MIYAMOTO, Kazuki(森林総合研究所), Sato, Tamotsu(森林総合研究所), Alexs Arana(ペルー農業省森林野生動物庁(SERFOR)), Gabriel Clostre(ペルー農業省森林野生動物庁(SERFOR)), Christian Rohner(ペルー農業省森林野生動物庁(SERFOR)), Segundo James(ペルー農業省森林野生動物庁(SERFOR))

自然条件・社会条件が多様である開発途上国において、森林減少・劣化の現状やその要因を把握するためには、現地の状況に応じた、できるだけ簡易な手法を通じて森林構造や種組成とそれらに影響を及ぼす種々の要因を多角的に評価することが重要と考えられる。本研究では標高700~3500 mまでのペルー山地帯の天然林および二次林を対象に多点地上調査を行い、標高傾度に沿った林分の地上部現存量と種組成のバリエーションを明らかにするとともに、標高以外でこれらのバリエーションに影響を及ぼす要因の抽出を試みた。調査地はペルー共和国クスコ地域の森林で、0.16haの方形区を基本として天然林と二次林に設置した。方形区内の胸高直径10 cm以上の樹木を対象に毎木調査を行い、幹の直径や樹高の測定を行った。また、林内の状況や地域住民の情報にもとづき、過去の自然攪乱や人為撹乱の履歴についても可能な範囲で記録した。今回は37地点分のデータについて解析を行った結果を示す。地上部現存量は、天然林で35~348Mg/ha、二次林で13~187Mg/haと林分によって大きく異なった。特に標高2000 m未満では、天然林の現存量は二次林よりも顕著に大きな値を示した。現存量は標高が高くなるほど低下したが、天然林の現存量の方が二次林よりも急激に減少した。また、NMDSをもちいて林分を構成する種組成(実際には属の組成)にもとづく林分の序列化を行い、さまざまな環境要因との関係を解析した。その結果、標高傾度や地上部現存量の違い以外にも、土壌侵食のような自然攪乱要因、火入れや作物栽培といった人為撹乱要因が調査林分の種組成の違いに大きな影響を及ぼしていることが示唆された。


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