| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-B-033 (Poster presentation)
林冠層を構成する樹種によって林床の環境は大きく変化するため、林冠層の構成樹種と下層植生の関連性の研究は多く行われてきた。
その下層植生の中で、風媒による広域散布で素早く侵入し、種子より多く漂着できるが、定着までに外部環境に左右されるため、観察には最適であるシダ植物に注目した。しかし、森林内でシダ植物の分布差が生じる要因の研究は未だ少なく、土壌の攪乱などの非生物的要因に求める場合が多い(深山・後藤2000、Costa et al.2005)。
本研究では、針葉樹と広葉樹など性質の異なる森林タイプが混在した場合に下層のシダ植物の生態分布はどのように変化するのか、について調査することを目的とした。
今回の調査では、苗場山麓ジオパークの津南町を調査地とし、ブナ二次林とスギ人工林の混交する森林でシダ植物の生態分布を調査し、スギとブナの混在がシダ植物の分布に与える影響について考察した。
調査方法は、河岸段丘の斜面に沿って調査用コドラートを一つ設置し、コドラート内における①シダ植物の分布と②林冠層、③低木層の被覆範囲、④林床の微地形区分を(x,y)データとして記録した。コドラートは水平距離で50m×50mとし、ブナ二次林とスギ人工林を跨るように設置した。
次にコドラートを5m×5mごとに区切って100個のマスに分割にした。このマスごとに、⑤落葉層の厚さ(cm)、その内、ブナ林の積雪により分解し切らなかった古い落葉の層を “フィルター層”と仮称して計測し、また⑥斜面角度を計測した。
以上の①~⑥からマップデータを作成し、①と②③からシダ植物と上層の樹木の被覆、①と④⑤⑥からシダ植物と林床の環境条件の関係について解析した。
また、②ブナ二次林とスギ人工林それぞれの範囲内で、①と③④⑤⑥の関係を調査し、森林タイプごとにおけるシダ植物の生態分布を解析した。