| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-B-054 (Poster presentation)
北海道中央部・空知管内の北海道有林で実施中の「保残伐実証実験に関するプロジェクト」の関連研究として、広葉樹を保残する主伐を広域的に実施することを検討する場合に必要な、広葉樹の侵入量を規定する要因の解析結果について報告する。
対象地は、実証実験地周辺の道有林で、南北約15km、東西約7kmの範囲に、主にトドマツ人工林が広がっている。
保残伐の実施にあたり、主伐の時点で侵入している広葉樹の本数が少なすぎると、保残により増加が期待される機能(生態系サービス)に差が出るほどの保残量を確保できない、ほぼ全ての侵入広葉樹を保残しようとするとトドマツ伐採等の作業に支障が出る場合がある、など、保残量や作業面での課題があった。そのため、保残伐の対象とする林小班を選定するにあたって、広葉樹の侵入量を林小班の地理的条件等から予測できると有効であることから、トドマツ人工林への広葉樹の侵入量を規定する要因を検討した。
トドマツ人工林の各林小班を対象に、①広葉樹の種子供給量と相関が高いと考えられる「周辺広葉樹天然林からの距離」、②積雪が多いとトドマツ人工林内に広葉樹の侵入するギャップが形成されやすい観点から積雪量との相関が高い「標高」、「斜面方位」等を説明変数とし、写真判読で把握された各林小班の「トドマツ成林状況」(古家直行・未発表データ)を目的変数として解析した。その結果、「標高」の要因が最も強く影響していることが示された。影響している要因を考慮して広葉樹の侵入量を予測し保残伐の対象とする林小班を選定することが有効と考えられる。