| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-C-114 (Poster presentation)
木材腐朽菌類上にみられる菌食性昆虫群集は,子実体のサイズや種類によって影響を受けている。これまでの研究で,子実体のサイズや種類は,枯死木のサイズや腐朽段階に影響を受けることが知られている。そのため,菌食性昆虫群集は,子実体のサイズを介して枯死木から影響を受けていると考えられる。Yamashita et al (2015)は2008年7月及び8月にマレーシア・サラワク州のランビルヒルズ国立公園の低地フタバガキ林に設定された3haプロット内で調査を行った。その結果, 15属111個の子実体から13科82種829個体が得て,ハネカクシ科,ゴミムシダマシ科,テントウムシダマシ科などが優占的であったことを報告した。本研究では上記の調査結果に枯死木に関する情報(子実体が発生していた枯死木の直径および子実体が同一の材から発生していたか否か)を加えて,以下の仮説を検討した。
1.直径が太い材から発生している子実体のサイズは大きく,かつ,大型の子実体を利用する昆虫の種数は多い。
2.菌食性昆虫の種構成は,同一の枯死木から発生している子実体間のほうが,異なる枯死木から発生している子実体間と比べて類似性が高い。
共分散構造分析の結果、1の仮説は支持された。解析では枯死木の太さが直接,菌食性昆虫の種数に影響を及ぼしていることも示された。2については今後解析を加える。これらの解析結果と既存の報告から菌食性昆虫群集に枯死木と菌類の属性が及ぼす影響について考察したい。