| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-D-140  (Poster presentation)

数理モデルを用いたミツバチコロニーサイズの成長と縮小特性の再現

*甘中健一, 岡田龍一, 池野英利, 木村敏文, 大橋瑞江(兵庫県立大学)

実測データと数理モデルによるミツバチコロニーサイズの季節変動解析
甘中 健一(兵庫県立大学)・大橋 瑞江(兵庫県立大学)

我々は、グラーツ大学で開発されたミツバチコロニーの個体数変動に関する詳細な数理モデルHoPoMoを基に、個体識別が可能なコロニーモデルiHoPoMoの開発、応用を進めてきた。このような数理モデルによるシミュレーション解析では、モデルの内部パラメータを変更して得られた結果と実測データを比較することで、どのような要因がコロニー状態を表す個体数や巣箱重量に影響を及ぼしているかを検証することができる。例えば、コロニー内で産卵する個体は女王のみであるが、この女王の産卵率を表すパラメータを変更し、シミュレーションを行いことで、女王の産卵率がコロニー全体の状態にどのように影響を及ぼすかを調べることができる。本研究では、キャンパス内に設置した2群のセイヨウミツバチコロニーに関して、2016年5~11月の個体数と巣箱重量の季節変動を継続的に計測した。これらは、ほぼ同じ環境下で飼育しているにも関わらず、個体数、重量の季節変化特性は異なっていた。これらの実測データに対して、①環境条件、②女王の産卵率、③採餌成功率を変更することによって、データ同化を行いコロニー個体数変化を再現するパラメータを推定した。その結果、コロニー内の個体数を決定づける主要な要因は周囲の環境条件と女王の産卵率であり、個体数に変化に基づき決定したパラメータによって、コロニー重量の季節変動も良く再現された。


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