| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-D-150  (Poster presentation)

ヒルガオ科植物を加害するゾウムシ類2種の種間競争

*本間淳, 大石毅(沖縄県病害虫防除技術センター)

共通の資源を利用する生物の共存は、資源をめぐる消費型・干渉型の競争や、繁殖干渉等により、一般的に難しいと考えられている。サツマイモ等のヒルガオ科植物を利用するイモゾウムシとアリモドキゾウムシの2種は、それぞれ西インド諸島とアジアの起源とされているが、寄主植物の移動と共に分布を広げ、各地で同所的な生息がみられる。日本でも、両種は沖縄県および鹿児島県の一部に侵入しており、不妊虫および性フェロモンを用いた根絶事業が行われている。この2種は栽培・野生寄主ともに同じ植物を利用しており、互いに競争関係にあることが予想される。そのため、根絶事業によって一方の種を根絶することが,もう一方の種の密度増加とサツマイモ被害の増加を引き起こすことが危惧されている。しかし、両種の競争関係については、室内・野外とも情報が限られている。
そこで、この2種について、相手種の存在が増殖率に与える影響を調べるために室内実験を行った。この際、成虫間の干渉や資源の質低下を介した相手種への影響を見るために、両種を同時に導入する場合だけでなく、一方の種を1週間および3週間遅らせて導入する処理も行った。その結果、同時導入の場合には両種とも増殖率に対して負の影響を受けることはなかったが、相手種に遅れて導入した場合には増殖率が減少していた。また、その影響はイモゾウムシにおいてより顕著に見られた。
一方で、沖縄県内の主要なサツマイモ産地においてサンプリング調査を行い、両種の生息状況の実態調査を行った。その結果、両種のサツマイモ塊根内における生息密度は比較的低く、相手種の個体数によって生息密度は影響を受けていなかった。
以上の結果をもとに、野外における両種の競争関係と、根絶事業に対する影響について考察する。


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