| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-E-164 (Poster presentation)
[背景] 草原生植物にとって重要な半自然草原は,開発や放棄後の遷移によって面積が減少し,多様性は低下している.ゴルフ場やスキー場など商業的に維持される草原において,管理方法を工夫すれば草原生植物の逃避場所や種子供給源として機能する可能性がある.歴史の長いスキー場では原地形や原植生が残り絶滅危惧植物を含む草原生植物の生育しており,歴史の長いゴルフ場でもこれと同様の可能性が高いと考えられる.
[目的] 本研究では,歴史の長いゴルフ場に成立する群落と管理状況を調査し,逃避場所や種子供給源としての可能性を明らかにする.
[方法] 1900-1950年代に開設された兵庫県南部にある5つのゴルフ場で2015-2016年に現地調査を行った.調査対象は,刈り取りが低頻度で地上から比較的高い位置で行われているラフやOBとした.各ゴルフ場に1m×1mの調査枠を50地点設置して,枠内に出現する維管束植物を記録した.
[結果と考察]
各ゴルフ場の平均出現種数は4.0-11.3種であった.各ゴルフ場における地点あたりの最低出現種数は全てのゴルフ場で1種のみであり,最大出現種数は16-23種であった.このように.5つのゴルフ場とも出現種数が1種と種数の少ない地点から種数の多い地点までばらつきがあった.主な優占種はネザサとシバであった.草刈り高さ10cm以下で高頻度の草刈りの地点では,出現種数は10種以下でシバが優占していた.草刈り高さ30cm以上かつ低頻度の草刈りの地点では,出現種数は10種以上でネザサが優占していた.ネザサが優占する群落ではヒメヤブラン,トダシバ,ススキなどが高い頻度で出現し,ツリガネニンジン,リンドウ,ワレモコウなどの草原生植物も生育していた.
[結論] 草刈り高さが高くて低頻度の草刈りされる地点では草原生植物が多く生育するため,草原生植物の逃避場所や種子供給源として機能する可能性がある.