| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-E-169  (Poster presentation)

市民調査データを用いた生物多様性解析とその有用性 -うおの会の魚類分布データを用いた滋賀県における淡水魚類の多様性評価と保全

*酒井陽一郎(琵琶湖環境科学研究センター), うおの会(琵琶湖博物館), 中尾博行(うおの会), 中川光(京都大学フィールド科学教育研究センター), 金尾滋史(琵琶湖博物館), 松田征也(琵琶湖博物館), 宮永健太郎(琵琶湖環境科学研究センター)

淡水生態系では生息地破壊や富栄養化、外来種の移入といった人為的な要因によって生物多様性の低下が急速に進んでいる。このため、生物多様性の評価および効率的な保全が求められているが、研究者や行政機関などによる生物の分布情報は、論文数・地点数ともに限られていることが多く、特定調査地に対する多様性評価に留まることが多かった。
 そこで本研究では、琵琶湖博物館を拠点として滋賀県の魚類分布調査を行っている「うおの会」をはじめとする市民団体が1997年~2015年に採集した魚類分布データを用いて、滋賀県内における在来魚類の多様性評価地図を作成し、生物多様性保全に向けた知見の可視化、保全施策の具体化の可能性について検討した。
 琵琶湖博物館などが過去に発行した文献および近年の採集データについて、GISを用いて地理情報化したところ、現存していると考えられる在来種65種のうち、57分類群が出現した。また、全ての採集データを3次メッシュ(1km×1km)で集計したところ、滋賀県内4053メッシュのうち、険しい山間部を除く1461メッシュにおいて魚類が採集されていた。このことから、今回集計した市民調査データは、滋賀県に生息する魚種および魚類が生息する地域ほぼ全てを網羅しており、県全域の多様性評価および保全施策の立案のために非常に有効なデータであると考えられた。


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