| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-F-198 (Poster presentation)
ノウルシは増水により攪乱される立地に生育する植物で絶滅危惧種である。地上部が見られるのが3~6月であり、生育していることを知られないまま人為改変により生育地が消失している可能性がある。そこで、本研究では、UAVを用いることで、地上部が見られる期間が限られるノウルシの分布を効率的に把握し、生育に影響を与える環境要因を直接観察することを試みた。2時期のオルソ画像を用いることで約6.3kmの区間のノウルシを82.8%精度で判読でき、本梅川におけるノウルシの分布が把握できた。期間中最低水位と年最大水位をオルソ画像から判読することで、年最大水位でも半数以上のノウルシが冠水しないことがわかった。冠水する個体、特に、水際に生育する個体が個体群を存続させるうえで重要であることがわかった。11時期のオルソ画像の判読によりノウルシと草刈り時期の関係を明らかにした。草刈りは植生遷移を抑制しノウルシの生育立地を存続させる一方で、草刈り時期が早いとノウルシを衰退させる可能性があることがわかった。ノウルシの生育に影響を与える環境要因を評価できたことで、保全上重要な個体が分布する場所を図示することができた。