| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-F-202 (Poster presentation)
土地利用の変化にともなう生物多様性の減少とその要因の解明は世界的なテーマとなっている。近年は、種の特性を考慮した生物多様性の変容に関する検証が進んでおり、その中でも進化系統を考慮した研究が増加している。進化系統を考慮することで、人間活動の変化にともなって成立した群集構造に系統的な偏りが存在しているかについて検証することも可能となる。しかしながら研究のほとんどは自然生態系(特に熱帯雨林)を中心に進んでおり、人間活動が維持してきた半自然生態系における検証はほとんど存在しない。
本研究は、水田畦畔に成立する半自然草原を対象とし、土地利用と植物の系統的多様性との関係を検証した。土地利用は伝統的に維持されてきた草地から近年(20年以内に)、放棄された(under use)、集約的に利用された(over use)草地を対象とし、植物の系統的多様性が土地利用の変化にともない変化するのかという問いを検証した。
結果から、放棄・集約的のどちらにおいても系統的多様性は大きく減少していた。この減少パターンは種数のみを考慮した系統的多様性(Faith’s PD)ではnon-randomな傾向が、個体数を加味した系統的多様性(Cadotte’s Haed)を用いるとrandomに起きているという傾向が明らかとなった。これらの結果をもとに、現在の生物多様性の均質化について議論する。