| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-F-205 (Poster presentation)
現在、イシガイ類の多くの種がその生息数・生息域を減少させており、その原因として土地利用の変化や河川改修の影響が指摘されている。国内では水路を主な生息地としており、今後、イシガイ類およびそれらと共存関係を持つ水生生物の生息環境の保全・再生などを行う際、様々な環境要因とイシガイ類の生息状況に関する情報が必要である。そこで本研究では、イシガイ類の生息場所としての重要性がますます高まりつつある農業用水路において、イシガイ類と水路内の環境との間にどのような関係があるかを検討した。
調査は、滋賀県近江八幡市内の農業用水路において、2014年10~11月に行った。生息が確認されたドブガイとマツカサガイを調査対象とした。1つの水路を5地点に分け、それぞれイシガイ類の個体数および殻長調査と環境要因調査を行った。
結果、イシガイ類の個体数密度は殻長別に生息環境が異なった。ドブガイについては、底層流速が遅いところに40mm以下の個体が多くなった。マツカサガイについては、底層流速が遅く、砂や礫質の底質環境が多いところに35mm以下の個体が多くなった。これらのことより、比較的小さな個体は自己の定位が容易な環境を利用していることが示唆された。よって、成長段階に応じた生息環境が必要になると考えられる。