| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-F-211 (Poster presentation)
大量に放出された放射性物質は東北南部や関東地方を中心に広範囲に広がり、森林・土壌・草地・湖沼・河川など様々な場所を汚染しました。放射性物質による汚染は生物に何らかの形で影響をもたらしますが、その現れ方は分類群によって異なるようです。渓流魚や水生昆虫は、渓流生態系の主要な構成要素です。また、渓流魚は釣りレジャーの主要な対象魚種であり、食物として消費されることもあることから、魚の放射能汚染除去は喫緊の課題となっています。しかし、国の安全基準値(100Bq/kg)を上回っている放射性セシウムを含んだ魚が、FDNPPから数百kmも離れたところでも見つかっており、一日も早い汚染の解消が待ち望まれています。
以前、水生昆虫および中禅寺湖の魚における放射性物質による汚染について発表をいたしました。その中で、流れのあるところに生息しているものは湖や淵などの流れのない所に生息しているものよりも汚染度が低いという結果を発表し、流れの有無が水生昆虫や魚の汚染度に関与している可能性を示唆しました。そこで、流速により汚染度に違いが生じるのかどうか明らかにするため、藻類の放射性セシウム濃度と流速との関係を調べ、「流れ」の効果について考えてみました。