| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-G-233 (Poster presentation)
特定外来生物であるウチダザリガニPacifastacus leniusculusは,北海道東部に広く分布し,阿寒湖や春採湖では駆除が行われている.ウチダザリガニの屈斜路湖における生息現状を把握するために,分布と底質との関係を調査した.屈斜路湖の湖岸の礫地3地点,砂地3地点,岩盤1地点,さらに釧路川1地点にて,2種類のカゴ網(小,大)を使用して捕獲調査を行った.2016年8月と9月に餌を入れたカゴ網を設置し次の日に回収した.各地点1―15日おきに4回の捕獲を行った.捕獲個体数は,礫地263個体,砂地241個体,岩盤地点30個体,釧路川地点108個体の計642個体であり,眼窩頭胸甲長は20.5―55.7 mmの範囲であった.屈斜路湖の捕獲個体の性比は雌:雄=2:1であった.ウチダザリガニは,昼間は礫の隙間に隠れていて砂地では見られなかったが,カゴ網の捕獲個体数は礫地と砂地で違いはなかった.捕獲個体サイズにも礫地と砂地で違いはなかった.2種類のカゴ網を比較すると,小の方が大より多くの個体が捕獲された.平均して1地点1回の捕獲(カゴ網小,大)で約20匹捕獲され,4回の繰り返し捕獲で捕獲数の減少はみられなかった.
ウチダザリガニは夜間に移動する能力が高く,カゴ網による捕獲では礫地と砂地の分布の違いは明らかにできなかった.駆除の効率から考えると,湖岸での網の設置場所の選定は厳密な必要はないと考えられた.