| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-K-330  (Poster presentation)

「河辺いきものの森」のチョウの季節消長

*太田真人(龍谷大・里山研), 山田純平(龍谷大・院・理工), 野村賢吾(龍谷大・院・理工), 鶴谷峻之(龍谷大・院・理工), 遊磨正秀(龍谷大・理工, 龍谷大・里山研)

「河辺いきものの森」は滋賀県東近江市に位置しており、愛知川沿いの河辺林である。かつて河辺林は、水害の防備や里山として生態学的にも重要な機能を果たしていた。しかし、今日ではその多くが開発や管理放棄によって、その姿を喪失している。「河辺いきものの森」は東近江市と里山保全活動団体「遊林会」により保全管理が行われているため生物の多様性も高く、総合学習や環境学習の場として利用されている。広さは15ha(300m×500m)あり、森林内には自然観察路がめぐらされている。
本研究では、2010年と2012年にルートセンサスを行いチョウ類の観察を行った。森林内に約2kmのルートを設定し、そのルート上で観察できた個体はその場で種の同定とGPSで位置情報を記録した。同定が困難であったものは捕虫網での捕獲や一眼レフカメラで撮影し確認を行った。2010年は11時~13時に、2012年は9時~11時、12時~14時、15時~17時の3つの時間帯で調査を行った。2010年と2012年を比較する際には2012年の12~14時と2010年を用いた。本報告では対象をアゲハチョウ科、シロチョウ科、タテハチョウ科に絞って行う。調査の結果、調査対象の3科の中でも林縁や林内に多く生息している森林性のチョウが多く確認でき、その中でもタテハチョウ科のサトキマダラヒカゲ(Neope goschkevitschii)が最も多く確認された。また、調査日ごとの個体数推移をみたところ2010年、2012年共に春から夏にかけて一度減少し、また7月頃から再び増加し8月下旬に最も多かった。秋には春と同じくらいの個体数となり11月には個体を確認することができなかった。一方で種数は春や秋などの出始めと終わりの時期を除けば2010年、2012年共に6種前後確認することができたが、同じ種が一定に見られたわけではなく季節による入れ替わりも見ることができた。また2012年での3つの時間帯での比較においても季節や種によって出現数が異なっていた。


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