| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-L-351  (Poster presentation)

トランスクリプトーム解析を用いたミスミソウの花色多型に関わる遺伝子の解明

*亀岡慎一郎(京都大学・人環), 若林智美(京都大学・人環), 田中啓介(東京農業大学・生物資源ゲノム解析センター), 三井裕樹(東京農業大学・農), 岩科司(科博・植物), 村井良徳(科博・植物), 崎尾均(新潟大学・農), 阿部晴恵(新潟大学・農), 瀬戸口浩彰(京都大学・人環)

 生物の表現型、あるいはそれを規定する遺伝子の多型が集団内で維持され続ける機構は、長らく進化多様性科学における謎とされてきた。表現型多型に関しては「負の頻度依存(選択少数派が有利になる状況がある)」が、遺伝的多型では、特定の部位が中立から外れて多型に富む現象が、それぞれ原因として考えられているが、実証例が少ないのが現状である。キンポウゲ科のミスミソウは集団内に著しい花色多型を有しており、色素成分の構成によって白、赤、青の三色に分類できることが分かっている。また、SSR解析により、各花色間でランダムに交配が行われていることが示されている。加えてフィールドワークからは、集団内で少数派である青が生態的に有利である可能性が示唆されている。以上のような背景を持つミスミソウの花色多型に対し、本研究ではトランスクリプトーム解析を用いた、集団内に維持されている花色に関連する遺伝子の特定と、多型性を確認することを目的とした。RNA-seqを用いて花色間の発現変動遺伝子を検出した結果、F3’H、F3’5’H、DFRといったアントシアニン合成経路上で働く遺伝子が特定された。またその中でも、青色を合成するために必要なF3’5’Hは他の遺伝子に比べ多型部位が多い結果となった。これらの遺伝子の花色多型集団内での多型の検出、及び白色単型化した太平洋側集団との比較を行い、遺伝的多型の維持機構に関して考察する。


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