| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-M-365 (Poster presentation)
陸上生態系の物質循環を駆動する植物は光合成器官である葉とそれを支持する器官として茎や根といった構造がある。それぞれの異なる器官の機能に応じて構成成分も異なる。地上部での生産者としての役割を終えてリターとなり腐食連鎖を駆動する際、この構成成分の相違は分解性の違いとなってあらわれ、土壌微生物の群集組成に影響を与える。また、対象基質に対する分解能力において多様性を持つ微生物群集は無機栄養化効率を高めて植物の成長を促進し、植物の個体群密度を高める。植物が利用可能な資源を光合成器官か支持器官かに対して投資するとしてトレードオフを仮定し、生態系内の相互作用を簡素化したモデルを構築、解析した。このトレードオフについての変異体は野生型の個体群密度が閾値以上のときに可能となることが導かれた。これは植物−土壌−微生物のフィードバックシステムの解析をした先行研究の結果を支持している。しかし、微生物の多様性が植物個体群密度を高めるにはシステム内の栄養塩量が閾値以上となる必要性が導かれた。では、植物の変異体の出現は系内の栄養塩量に対してどのような影響を持ち得るのだろうか。また、系内の物質循環を駆動する一次生産性に対してどのような影響を及ぼすのか。本研究では植物の機能の異なる器官への資源投資に変異をもつ個体の出現が生態系機能に及ぼす影響について考察する。