| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-M-382 (Poster presentation)
奈良県南部に位置する大峯山系前鬼地区は,大径のツガ,細くて多いヒメシャラ,ミズナラ,ブナが優占する原生的な針広混交落葉樹林であり,シカの影響で林床植生はまばらで,樹皮剥ぎもある.前鬼地区に2005年に森林調査区 (1.08 ha,標高990~1,060 m) 設置し,10年を経た森林動態の明らかするために,2005年と2015年に胸高直径5 cm以上の直径を調査した.解析に際しては,極端な胸高直径生長のデータなどを除外した.調査区内には,針葉樹5種,常緑広葉樹6種,落葉広葉樹40種の全51種が出現した.幹生育密度は,2005年の963.0 本/haから2015年の912.0 本/haに若干減少した.胸高断面積は,48.99 m2/haから48.22 m2/haに減少した.調査区内に50本以上または胸高断面積1.0 m2/ha以上みられた主要種の胸高断面積のうちモミ (+23%),アオハダ (+25%),ミズメ (+13%),ツガ (-6%),ブナ (-9%),エゴノキ (-13%) が比較的大きく変化した.胸高直径生長では,全種込みで0.13 cm/年 (SD = 0.13, N = 905)だった.総括して,直径5 cm以上の樹木の生育密度と胸高断面積,種構成は,10年間であまり変化しなかった.ただし個体数の少ない大径木では,胸高直径127.5 cmと102.7 cmのツガが枯死した.