| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-O-430  (Poster presentation)

雄性両全性異株性植物ミヤマニガウリの生活史形質の性的二型

*三宅崇(岐阜大学教育学部), 吉家卓未(岐阜大学教育学部), 田中翔太(岐阜大学教育学部), 永野惇(龍谷大学農学部, JST CREST, 京都大学生態研センター), 手塚あゆみ(龍谷大学農学部, JST CREST), 牧雅之(東北大学植物園)

 ミヤマニガウリSchizopepon bryoniaefoliusは、集団内に雄株と両性株が存在する雄性両全性異株性のウリ科植物である。この性表現システムにおいては、雄株は両性株を上回る花粉親成功が必要であり、雄株の花数の多さはそのための戦略の1つだと考えられる。したがって、開花期時点では雄株の方が両性株よりも繁殖に資源を投資していると推測されるが、栄養器官と繁殖器官への資源配分の性的二型が、生活史のどの時点から生じるかは不明である。
 本研究では、野外集団を用い、栄養成長期、開花初期、開花後期での葉への投資量の指標として、葉面積と乾燥重量の測定によりLMA (Leaf mass per area) を算出した。この際、栄養成長期の性判別に、RAD-SeqによるSNP解析により作成した性判別マーカーを利用した。その結果、開花期には雄の方がLMAが有意に小さかった。栄養成長期にもその傾向はみられたが、採集後の性判別では雄株と判定できる個体数が少なかったために、有意な違いは認められなかった。さらに、栄養成長期の性的二型の有無を調べるために、ランダムに採集した葉の面積、葉縁長、葉の長さ、葉の幅を測定し、葉縁長/葉面積および葉の縦横比を性間で比較した。その結果、栄養成長期にはいずれも性間で差がなく、開花期には雄株が有意に大きかった。ただし、開花期の雄株の葉は両性株の葉より小さく、葉の成長段階の違いを反映しているとも考えられる。


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