| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-P-456  (Poster presentation)

探求!異なるマングローブ胎生種子の発芽・発根特性

*渡辺信(琉球大学), 宮地李果(山脇学園中学校), 菅原羽那(山脇学園中学校), 岡田悠里(山脇学園中学校), 熊澤美希(山脇学園中学校), 伊藤華子(山脇学園中学校)

2016年5月、本研究発表者らは山脇学園中学校の教育プログラムの一環として沖縄県八重山郡西表島でマングローブ生態系の現地調査を実施した。その中で特にマングローブ樹種毎の生態ニッチの違いに興味を抱き、マングローブ胎生種子の発芽・発根特性を明らかにすることを目的として、西表島に自生するマングローブ樹種の栽培実験を行った。
実験材料は西表島の主要マングローブ樹種である二つのヒルギ科、ヤエヤマヒルギ(Rhizophora stylosa)とメヒルギ(Kandelia ovobata)を用いた。栽培条件に関しては、マングローブの成長に大きく影響すると考えられる光の強弱、冠水の有無、塩化ナトリウム(NaCl)の有無に着目し、これら三つの条件を組み合わせた8通りの処理区を設定した。各処理区で各々の樹種4本を最長10週間栽培し、その間に個体生重量、葉の枚数、茎の長さ、根の本数、根の長さを2週間おきに計測した。光条件は①~④を明条件(110 µmol/m2/s)、⑤~⑧を暗条件(60 µmol/m2/s)とした。水位は、奇数番号(①③⑤⑦)を胎生種子の下半分が水に浸かる湛水条件、偶数番号(②④⑥⑧)を胎生種子全体が水に沈む冠水条件とした。NaCl濃度は、①②⑤⑥を0%、③④⑦⑧を海水の四分の一濃度となる0.8%とした。
実験の結果、メヒルギでは、②④で発芽が見られ、2つの共通条件は明条件、冠水条件であった。⑤⑦では発根が見られ、2つの共通条件は暗条件、湛水条件であった。ヤエヤマヒルギでは、⑤⑦で発芽が見られ、2つの共通条件は暗条件、湛水条件であった。①③⑤⑦では発根が見られ、4つの共通条件は湛水条件であった。根の本数は明条件である①③が少なく、暗条件である⑤⑦は多かった。また、ヤエヤマヒルギはメヒルギに比べて発根するのが速かった。


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