| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-P-457 (Poster presentation)
地際萌芽やルートサッカーなど、個体の接続性を確認するのが困難な樹木において、これを非破壊で探査するための方法として、体脂肪測定などに用いられる生体インピーダンス法を適用し、その可能性について調べた。
地下で複数幹が接続する萌芽性樹木において、2本の萌芽幹の間に微弱な交流(1kHz-100kHz)を流し、オシロスコープを取り付けてシグナル計測を行った(4電極法)。また、萌芽性樹木と土壌において、LCRメーターを用いたインピーダンスの測定を行った。実験材料にはルートサッカーをつくるニセアカシア(Robinia pseudoacacia)を用いた。
地上部に出ている幹および土壌に電極を設置して内部インピーダンスを計測したところ、周波数1kHzから100kHzではインピーダンスは20kΩ〜50kΩ程度を示し、周波数の増加と共に低下した。位相回転は-7°〜-22°の範囲で周波数と共に増加した。一方、接地インピーダンスは1kHz〜25kHzの範囲では測定不能(ほぼ絶縁状態)であり、位相回転も非常に大きかった。
一方の萌芽幹から他方の幹に流れる交流は、レベルは大幅に低下するものの位相回転が少ないため識別可能であり、地面へのリーク電流や他個体への地下を通した流れ込みはレベル低下と位相ズレの双方を伴っていた。また、一度刈り払いなどの攪乱を受けて地上部が切除された後で再萌芽した幹ではレベル低下が顕著に生じることが認められ、当該の幹を採取し断面を確認したところ形成層から辺材部にかけて組織異常が確認された。