| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-04 (Poster presentation)
九州北部,九州本土南部(鹿児島県本土),大隅諸島,トカラ列島,奄美群島,琉球諸島の6つの地域において,主に遠洋漁業の基地となる港及び大型フェリー発着のある港でアリ相の調査を行った。これまで調査された47港から合計4亜科25属63種のアリが採集された。採集された63種のうち,オオシワアリ,ケブカアメイロアリなど22種(34.9%)が外来アリであった.渡嘉敷港(渡嘉敷島)と大原港(西表島)で14種と最も多くの外来アリが採集され,名瀬港(奄美大島)ではその割合(90.0%)が最も高かった.
調査された47港について,最も出現頻度の高かったアリは45港で確認されたクロヒメアリ(95.7%)で,6位までに在来アリのクロヒメアリを除く5種の外来アリがみられた.
全ハニーベイト(1410個)への出現頻度によって推定された最優占種はクロヒメアリ(33.5%)で,トビイロシワアリ(18.9%),外来アリのツヤオオズアリ(16.5%)が続いた.クロヒメアリとケブカアメイロアリ,インドオオズアリの外来アリ2種は6つの地域すべてでみられ,これら3種のアリはこの地域の港のアリ相を代表するアリであると考えられる.現在,奄美群島以南に生息し,侵略的外来アリと考えられているツヤオオズアリ(3位)とナンヨウテンコクオオズアリ(7位)の2種が優占順位の上位にみられた.
野村・シンプソン指数によって種構成の類似度を求めると,九州本土南部-大隅諸島間と奄美群島-琉球諸島間(それぞれ0.85)が最も高った.また,単純連結法によって6つの地域間の種構成の類似度をみると,九州北部/九州本土南部/大隅諸島/トカラ列島-奄美群島/琉球諸島間にギャップがみられ,アリ群集についても生物分布境界線である渡瀬線が有効であることが示された.