| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-07 (Poster presentation)
さいたま市立大宮北高校サイエンス部 猪狩秀弥・永井僚・伊藤隆晃・和澤昇也
外来植物(帰化植物)が帰化センターから各地へ拡散するのに、バイパスのような交通量の多い道路が経路のひとつとして寄与していることが予想される。我々は実際に、さいたま市北区内の新大宮バイパス(片側2車線)沿いに形成された雑草群落を観察して、それを実感した。今回、バイパス沿いの街路樹の植えますや舗装道路と歩道との間隙(以下、道路間隙と省略)に見られる雑草群落を比較することで「どのように外来植物が分布を拡散していくのか」という問題の糸口を見つけるために植生調査および土壌調査を行った。
<仮説> 道路間隙は植えますと比べ乾燥化し易く、雑草にとっても厳しい環境であり限られた種が生育する。1年草が多年草に比べ多く多年草は根茎を深く広げる種が多くなる。
<結果> 植えますと道路間隙の土壌のpHはそれぞれ7.45±0.23、7.94±0.11(平均値±S.D.)で道路間隙の方が有意に大きな値を示した。土壌中のNPK量については、ほぼ差が無かった。出現種数は植えますでの36種に対し道路間隙では22種で、そのうち20種は植えますと共通種であった。種数帰化率は植えますで52.7%に対し、道路間隙で50.0%であったが、被度帰化率は植えますで46.7%に対し、道路間隙で30.7%であった。道路間隙は外来植物にとっても生育が厳しい環境であると推察された。一方、1年草の割合は仮説と異なり、両立地とも種数も被度も多年草とほぼ同じであった。地下器官型を比べると、植えますでは道路間隙と比べR3の根茎が母株のまわりに狭く広がるタイプが多く、道路間隙ではR5の根茎やほふく茎をつくらない単立型が多かった。散布型は両方で似ており、種子や果実の散布のために特にしかけを持たないものが80%程度で、次に風散布するものが8%程度であった。