| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-09  (Poster presentation)

アオドウガネの集団行動ーモニタリングを用いた武蔵高等学校中学校構内におけるアオドウガネの集団行動の調査ー

*阿部純大(武蔵高等学校中学校生物部)

アオドウガネの集団行動
―モニタリングを用いた武蔵高等学校中学校構内における
アオドウガネの集団行動の調査―
発表者:武蔵高等学校中学校高校2年 阿部純大

要旨
近年、害虫として知られるアオドウガネが武蔵高等学校中学校(以下本校)含め関東県内で増加傾向にあり(中野、2015)、街路樹や農作物への食害が問題視されている。また、生態に関してはArakaki(2004)により、交尾前の防衛行動や日中での様子がわかっている。近年急激な増加傾向にあることは、本校構内においても2012年から夏に行っている夜間採集にて確認されている(阿部、2016)。しかし、採集を行う中でArakaki(2004)に示されていた事、特に日中の行動について疑問を持った。そこで、本研究では日中本校構内で観察されたアオドウガネの個体群をもとに、アオドウガネの採食機構や移動形式を解明することを最終目標に掲げ、その第一歩としてアオドウガネが集合している様子の確認と本校構内での移動の様子の解明を目的とした。
調査では本校構内各所にモニタリング地点を設け、そこに飛来してきているアオドウガネに地点ごとに識別できるようにマーキングを施し、毎日観測を行うことでアオドウガネの集合の様子と構内での移動を調べられるようにした。さらにそれと並行して、構内を巡回してアオドウガネの集合の様子を記録することでモニタリング地点以外での集合、移動も調べられるようにした。
調査は7月~8月の夏休み中に行った。その結果、アオドウガネが1つの木に集合する様子が確認できた他、以下のような新たな知見が得られた。
•Arakaki(2004)で述べられていたのとは異なり、集合した個体はすぐに別の場所へ移動してしまう。
•植物が出す防衛物質や植物の被食率は集合には関係がない。
•集合した個体はそのまま集団で移動するわけではない。


日本生態学会