| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-12 (Poster presentation)
ヌマガエルとは、無尾目ヌマガエル科ヌマガエル属に属するカエルで、国内では本州中部以西、四国、九州、沖縄などに分布するカエルである。
しかし近年10年ほどの間に関東でもヌマガエルが確認されるようになった。現在、関東1都6県と山梨県への侵入が確認されている。熊谷西高校が位置する埼玉県熊谷市の二毛作水田地帯でも、ヌマガエルが優占的に生息している状況である。
我々はこのカエルが外来種であることを知り、周辺の生態系におけるヌマガエルの影響を調べたいと思い、その生態を調査することにした。
ヌマガエルの生態を知るにあたって、我々はまず年間を通したヌマガエルのライフサイクルを知る必要があると考えた。よって成長率と成熟度を調査することにした。
方法として、学校前の畔(約150m区間)で7月~10月に毎月1回、同じ場所でヌマガエルを採集し、全個体の体重と頭胴長を計測した。尚、捕獲した個体は冷凍保管しておき、その後解剖によって生殖巣の発達度合いの確認も行った。
結果から、体重は7~8月で91%、8~9月で39%の増加を確認した。また、10月になると体重増加率が横ばいになることがわかった。このことから、ヌナガエルは9月までの成長期間で大量の餌を捕食し、10月には餌をほとんど摂らなくなると考えられる。また、頭胴長は7~8月と8~9月には横ばいで、間の8~9月に33%伸びるという、階段的な増加を示した。
10月の個体を解剖した結果、ほとんどの個体で生殖巣が確認できた。中でも未成熟と思われた頭胴長30mm未満の個体にも卵巣が見られたことから、越冬前の比較的早い時期から性成熟が始まっていることが判明した。
我々は今後、越冬後の個体に関しても同様の調査を行い、それに加え産卵開始時期や上陸開始時期に関しても調査を行っていく予定である。