| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-29  (Poster presentation)

東京都心部における食肉目の分布特性

*大塚悠宇馬, 伊藤太郎, 秋山馨, 高野大地, 原園真太朗, 宮城隆太(海城中学高等学校)

 近年,都市部において食肉目の目撃情報や人への被害が多数報告されており,東京都内での食肉目の分布特性や被害状況の把握をすることが,適切な対策をとる上で必要な情報となる. 
 2016年8月から始めた調査では,23区において,寺社の爪痕調査を86か所で行った.また,目撃情報が多数期待できるTwitter上での食肉目の目撃情報に関する投稿を収集・分析した.その結果,ハクビシンは目撃情報と爪痕がどちらも見られたが,アライグマでは,爪痕は確認されず,目撃情報のみであった.
そこで,本研究では東京都内での食肉目の分布特性を明らかにするために,アライグマは郊外に多く生息し,目撃情報の多いタヌキとハクビシンは都市部でも生息するとの仮説を立て,調査範囲を多摩地区に広げ,アライグマ,ハクビシン,タヌキの3種の食肉目の東京都における分布の特性について調査をした.
 アライグマとハクビシンの分布については,23区と多摩地区の境界付近である東経139度36分付近から八王子市の東側の境界東経139度23分付近にかけて約6km間隔で南北のラインを引き,ライン付近の寺社の爪痕調査を行った.これで,アライグマとハクビシンが都心に向けてどこまで侵入しているのかを明らかにする.
 前述の2016年8月から始めた調査の際,千代田区ではアライグマが,新宿区ではハクビシンが多く生息していると推測された.この隣接した2区において寺社の爪痕調査を行い,爪痕と寺社の立地環境から,ハクビシンとアライグマで好む環境にどのような違いがあるのかを明らかにする.
 タヌキの分布については爪痕での調査は難しい.ため糞調査などもあるが,広範囲に探すのは困難である.タヌキは知名度が高いことから,SNSでの書き込みが期待できる.そこで,多くのユーザーがいるTwitterを用いて,タヌキ,アライグマ,ハクビシンの目撃情報を収集し,その分布とその調査の妥当性について発表を行う予定である.


日本生態学会