| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-38  (Poster presentation)

滋賀県立守山高校SGH課題研究発表

*守山高校SGH課題研究チーム(滋賀県立守山高校)

琵琶湖には多様な生物が生息しており、湖の魚介類を食用に利用する湖魚食文化が発展してきた。ビワマスやニゴロブナ、ホンモロコ、イサザ、ハス、アユ、セタシジミなどはその多くが保全上注目を要する固有種であると同時に代表的な琵琶湖の水産資源であり、それらを用いた鱒寿司や鮒寿司、ホンモロコの醤油煮、イサザ豆、ハスの魚田、コアユの山椒煮、シジミの味噌汁などの伝統的な湖魚料理は人々の間で親しまれてきた。しかし近年、琵琶湖での漁獲量は減少しており、伝統的な湖魚食文化の衰退が懸念されている。そのため、本研究では県民が湖魚料理を食べる機会の把握や、県民の湖魚料理に対する印象の把握を行うことで、滋賀県における湖魚食文化の現状を明らかにすることを目的とした。そこで、県立守山高校の生徒および教員、近隣住民にアンケートを行い、10代70人、20代28人、30代25人、40代62人、50代52人、60代15人、70代以上9人の計261人のデータを得た。その結果、極めて稀にしか湖魚料理を食べない人が全体の32%を占めていた。また、10代・20代の人が食べたことのある在来魚種数の平均は3.0種であったのに対し、30代以上の人が食べたことがある在来魚種数の平均は5.8種であり、有意な差があった。また、在来魚を機会があれば食べたいと思う人、おいしいと思う人、あまり流通していないと思う人、値段が高いと思う人は、そう思わない人より多かった。これらの結果より、琵琶湖産魚介類を食べたいと思う人は多いものの、実際に食べる機会は少ない現状にあることが示唆された。その原因としては、琵琶湖産魚介類の流通の不足や、価格の上昇などが考えられた。また、特に若い世代における湖魚食文化の衰退が懸念された。以上より、湖魚料理のブランド化などを図ることで少ない水産資源を大切に利用しながら伝統の継承と保全を両立していくこと、若い世代が湖魚食文化を知る機会を作ることが重要であると考えた。


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