| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
自由集会 W15 3月15日 18:00-20:00 E会場
自然史情報のアーカイブ機能は、博物館が有する様々な機能のなかでも、未来の人類の知的好奇心を満たすとともに、新しい知見を生み出すソースを残す上で特に重要視されている機能である。
現在アーカイブされている自然史情報の大半は生物標本に代表される物的証拠が占めているが、未来に継承すべき自然史情報には自然現象の記録のように物的証拠が伴わないものも含まれる。
特に生物個体の目撃情報や植生などの生物群集の状況の記録、景観や生物種の絵画・スケッチ・写真、動物の行動を記録した動画などがそれにあたる。記録紙やフィルムといった記憶媒体が伴う場合が多いが、近年のデジタル技術の発展により記憶媒体にとらわれる必要がなくなりつつある。また記録に必要な機器の低価格化により、職業研究者だけでなくアマチュアでも比較的容易に生物生態写真・動画を撮影することが出来るようになっているが、それらが自然史情報としてアーカイブすべき価値があるものとはまだ十分に認知されていない。
そこで本集会では、観察記録や写真・動画といった「カタチのない」自然史情報がアーカイブに値する重要なものであることを解説するとともに、それらを集積し、より多くの人々が利用できるように配信するための方法について事例報告を交えて議論する。
特に、これらの情報のアーカイブは職業研究者だけでなく多くのアマチュアが参画することによって量的質的充実が図られることが予想されることから、資料収集者と利用者の双方向性や学術以外の多面的価値についても議論したい。
[W15-1] 趣旨説明
[W15-2] 過去の生物多様性情報を引き出す:江戸時代の本草学資料のもつ学術的価値
[W15-3] 生物動画を博物館が収集し、収蔵し、利用公開するしくみは可能か - 増え続けるデータ量と権利処理における課題
[W15-4] 過去の植生の「状態」情報を流通させる-植生調査資料DBの構築とその最適な公開方法の模索―
[W15-5] アーカイブ活動への市民参画のためのバックヤード公開―デジタル化と市民科学の二兎を追うアメリカの博物館の模索は日本でも通用するか?