| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


自由集会 W18  3月15日 18:00-20:00 H会場

農村現場における生産性向上と生物多様性保全のはざまで ~農業農村整備事業にみる環境配慮対策の現状と課題~

嶺田拓也,森 淳(農研機構・農村工学研究部門)

農村や農地では生産性を向上させるために,規模の大小はあれ,古くから区画の整理や水路の整備などが行われてきた。これらの農地改良は戦後,土地改良法(1949年施行)で規定され,国や県,土地改良区などが主体の事業として実施されるようになった。事業には多額の経費がかかるため,農林水産省の農業農村整備事業として国の直轄あるいは補助事業として行われる場合がほとんどである。
 2001年には土地改良法が改正され,農業生産基盤の整備にあたっては環境に配慮して実施することが強く求められるようになり,「生産性向上」のみならず,併せて生物多様性保全などにも注意が払われるようになった。その結果,各地でミティゲーションが行われたり,各種の生態系配慮施設が整備されたりする事例が少しずつ増えてきている。しかし,事業現場においては,事業者や住民の生物多様性保全への理解や具体的な技術がいまだ絶対的に不足している状況にあり,また,生態系配慮施設を整備してもその後の適切な管理やモニタリングが実施されずに対策の効果が不透明な施設も数多い。
 そこで本集会では,多種多様な生物の生息環境となっている農村で実施されている農業農村整備事業について,その特性を解説するとともに,現場で実施されている生態系配慮の事例や具体的な技術例をいくつか紹介したい。また生物多様性保全に対する住民や技術者の理解を高めるための配慮についても紹介する。これらの情報を共有することによって,「生産性向上」のみならず農村の生物多様性保全も担保しうる農業農村整備の実現に向けて,コメンテーターや会場との忌憚ない意見交換を通じて論点を整理したい。
コメンテーター:調整中

[W18-1] 総論:農業農村整備事業の特性と生物多様性配慮の実際 森 淳(農研機構・農村工学研究部門)

[W18-2] 生物が生息しやすい環境を実現するための技術とは 渡部恵司(農研機構・農村工学研究部門)

[W18-3] 住民が活動に参加しやすい環境を実現するための配慮とは 柿野 亘(北里大)

[W18-4] 技術者が順応的に生態系配慮施設を設計・施工しうるための技術者育成とは 齊藤 光男((株)ウエスコ)


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