| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
自由集会 W31 3月17日 18:00-20:00 H会場
我々人類は、古来より様々なかたちで自然と関わり合い、身近に親しみ、その美しさや価値を認識してきた。しかしながら、近年の都市化や娯楽志向の変化により、長い時間をかけて培われた人と自然の密接な関わりは失われつつある。実際に、日本をはじめとした多くの先進国で、ここ数十年の間に人々の自然体験が激減していることが報告されている。こうした人と自然との関わり合いの衰退は「Extinction of experience(経験の消失)」とも呼ばれ、人々の健康レベルの低下を招くだけでなく、生物多様性保全に対する関心・意識を減退させる危険があることが指摘されている。すなわち、この人と自然との間に生じた「ギャップ」を埋め、両者を繋ぎなおすことは、今後人と自然がwin-winの関係を築く上で避けて通れない課題と言える。
本集会では、人と自然の間の「ギャップ」について研究している演者を招き、本テーマに関して様々な切り口から話題提供を行う。そしてそれらの講演を踏まえて、(1)人と自然の関係を再構築することの意義を提示すると共に、(2)今後社会と自然を結びつけるにはどのような方策が必要なのか、また(3)そのためにはどのような研究展開が必要なのかについてコメンテーターや聴衆を交えて議論したい。本テーマに関しては、未だ萌芽段階であり研究者人口も多くはないが、本集会が今後の研究進展のための土台づくりの場となることを期待している。
コメンテーター(予定):西廣淳(東邦大)、天野達也(ケンブリッジ大)
[W31-1] 人と自然をめぐる「経験の消失」:両者の間にあるギャップを埋めるには
[W31-2] 都市緑地計画における「人と自然の関わり」指標の可能性
[W31-3] 自然体験の頻度を決めるのは何か?:周辺環境、自然への関心、幼少期の体験を考慮に入れた実証分析
[W31-4] 中山間集落における伝統的植物資源利用の世代間でのギャップ
[W31-5] 何が植物を見えなくするのか?:実際の出現種数と認識した種数のギャップを生み出す要因の検討