| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-002 (Poster presentation)
自然条件下において外来植物と在来植物はしばしば同所的に生育しており、外来植物は在来植物に対して光をめぐる競争のような直接的な影響の他に、周囲の生物を介した間接的な影響も及ぼしている。特に送粉者を介した外来植物から在来植物への間接的な影響は、在来植物の繁殖に影響を与えるため重要である。また、植物が成長期に受けた食害が、送粉者に影響を与えることが知られている。そこで、本研究では外来植物のセイタカアワダチソウとキク科在来植物を材料に用いて、キク科ジェネラリスト植食者である外来昆虫のアワダチソウグンバイが、10年以上前から分布している滋賀と、未侵入の秋田において、キク科在来植物がセイタカアワダチソウと同所的に生育する場合と、しない場合で送粉者の訪花数がどのように変化するかを明らかにした。
その結果、滋賀と秋田両方において、キク科在来植物への送粉者の訪花数は、セイタカアワダチソウと同所的に生育する場合はしない場合に比べて増加した。さらにその訪花数が増加する程度は秋田と滋賀で異なった。これらのことから、セイタカアワダチソウが在来植物に送粉者を介して与える間接的な影響は、植食者相によって異なることが示唆された。