| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-197 (Poster presentation)
繁殖干渉とは、異なる種の間で起こる繁殖行動によって、個体の繁殖成功が低下する現象である。ヨツモンマメゾウムシ(Callosobruchus maculatus、以下ヨツモン)とアズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis、以下アズキゾウ)の間では、アズキゾウからヨツモンに対する強い繁殖干渉が生じる。この繁殖干渉により両種は共存できないと考えられている。先行研究から、msC15系統のアズキゾウは急速にヨツモンに駆逐されるに対し、jC-F系統のアズキゾウはより時間をかけて個体数が減少することが分かっている。このアズキゾウの系統による種間競争時の個体群動態の違いは、繁殖干渉の強さの違いに由来するかもしれない。そこで本研究では、アズキゾウ・ヨツモン間の繁殖干渉の強度が、アズキゾウの系統(msC15 vs. jC-F)の違いによって変化するかどうかを検証した。
実験結果を解析した結果、アズキゾウは系統によらずヨツモンからの繁殖干渉を受けなかった。それに対して、ヨツモンはアズキゾウからの繁殖干渉によって産卵数が低下し、繁殖干渉の存在が示された。しかし、アズキゾウの2系統間でヨツモンに与える繁殖干渉の強さに違いは見られなかった。その理由について考察する。