| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-202  (Poster presentation)

積雪はシカ目撃個体数の年次変動に影響を与えるのか?

岡本勇貴(日大・文理), *井上(高橋)みずき(日大・文理), 福本繁(平野町総合事務所), 福島慶太郎(京大院・生態研), 境優(中央大・理工), 阪口翔太(京大院・人環), 藤木大介(兵庫県立大), 高柳敦(京大院・農), 山崎理正(京大院・農)

世界的にシカ類の生息密度増加による森林生態系の劣化が報告されている。京都府北東部に位置する京都大学芦生研究林では、1990年代後半からニホンジカの採食による植生の衰退が進んでいるが研究林内のシカ生息密度の動向はあまり把握されてこなかった。今後のシカの管理方針を決めるためには、生息密度指標による個体群の動向を把握することが重要である。そこで研究者・研究林の技術職員に協力を依頼し、林道を車輛で走行する際に目撃したシカの個体数を記録した。本発表では、シカ目撃数の年次変動を把握するとともに、冬季の積雪がその後の目撃数に影響を与えるのかを明らかにした。2007年5月から2017年11月までに得られた観察記録のうち、5月から12月の観察記録を使用し、ブートストラップ法によるデータの再抽出を行い、各月の観察回数をそろえ、ポアソン誤差を仮定した状態空間モデルのKFASにより目撃数を平滑化した。また、冬季に林内を踏査しシカ死亡数を記録した。負の二項分布を仮定した一般化線形モデルでは、冬季のシカ死亡数は積雪期間よりも最大積雪深が強く影響した。そこで、最大積雪深をKFASモデルで考慮したところ、考慮しない場合に比べて対数尤度が大きい結果となった。このことから、目撃数の年次変動には積雪の影響があることが明らかとなった。10年間のうち、ここ数年は目撃数の変動が小さいことも明らかとなった。


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