| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-214  (Poster presentation)

霞ヶ浦に生息するカブトミジンコにおける農薬2種類への感受性の種内変異

*真野浩行((国研)産総研), 田中嘉成(上智大学大学院)

2種類の農薬(MEP、フェンバレレート)について、霞ヶ浦に生息するカブトミジンコ(Daphnia galeata)の遺伝的な感受性とその変異の程度および関係性を調査するために、霞ヶ浦の7地点から採取した休眠卵から83の遺伝的に異なるクローン系統を作成し、クローン系統ごとに各農薬の遊泳阻害試験を実施した。得られた試験結果をもとに、各クローン系統の遺伝的な感受性の値として、toxicant threshold modelにより遊泳阻害が生じる閾値濃度を推定した。クローン系統のMEPに対する閾値濃度の推定値は1.15±0.76µg/L (平均値±標準偏差)で、フェンバレレートに対する閾値濃度は0.30±0.13µg/Lであった。これらの結果から、霞ヶ浦におけるカブトミジンコのクローン系統の感受性はMEPよりもフェンバレレートで高いことが示された。また、MEPの閾値濃度の変動係数は、フェンバレレートにくらべて大きく、クローン系統間でMEPに対する感受性の遺伝的な変異が大きいことが示唆された。また、クローン系統のMEPとフェンバレレートの閾値濃度間に有意な相関は検出されなかった。これらの結果をもとに、2種類の農薬の曝露に対する霞ヶ浦におけるカブトミジンコの反応について議論する。


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