| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-309 (Poster presentation)
淡水魚類における放射性セシウムの蓄積は、水質や魚の食性などの要因によって影響される。湖と河川でこれらの要因がどう影響するかを明らかにし、河川と湖沼における放射性セシウムの蓄積の違いを理解することは、今後の淡水魚への放射性セシウム移行の予測と管理のために重要な課題である。本研究では、福島県内の河川(真野川と太田川)、湖沼(猪苗代湖とはやま湖)における淡水魚の137Cs濃縮に影響を与える水質と魚の生態特性を分析した。さらに、安定同位体分析を行いて各食物網内で137Cs濃度と栄養段階の関係を調べた。その結果、湖では生物濃縮のため魚食魚の137Cs濃度が他食性の魚より高かったが、河川では食性による137Cs濃度の違いはなく、生物濃縮は起こっていなかった。安定同位体分析により、河川と湖における食物網の構造の違いが淡水魚の137Cs蓄積に影響していると考えられた。