| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-045 (Poster presentation)
クローナル生長で形成されたラメット群の地下茎接続性を非破壊で判定するため、生体インピーダンス測定技術を応用した微少交流による接続診断技術の開発を行ってきた。
本研究では、典型的な根萌芽を行うコクサギ(Orixa japonica)野生個体群を用い、幹内での交流伝導特性を把握すると共に、実際に電導特性を元にしたラメット識別を行った。
岐阜県郡上市のコクサギが萌芽により林床で優占する二次林において、主幹と思われる幹から約3mの範囲内にある幹60本について、主幹及び周辺の幹との間に1kHz〜100kHzの微少交流電流を流し、投入した電流とセンサーから得られた電流の間での電圧降下および位相ズレを計測した。また、幹同士の接続確認は根茎の多くが地表に露出しているのを利用して目視で行った。
本調査時は小雨もしくは霧で地面の電気伝導度自体が高い条件で行ったが、幹及び根茎で繋がっている(維管束が樹液を流している)場合と繋がっていない場合では位相差に明瞭な違いが生じることが分かった。すなわち、接続がある2本の幹の間では位相は送信信号に対し同相に近い範囲で変化するが、接続の無い2本の幹の間では明瞭に逆相になっていた。これまで、コンダクタンスと位相の2点からラメット識別を行ってきたが、本研究では位相が接続診断の最も重要なパラメーターであることが明らかになった。