| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-050 (Poster presentation)
秋に里山林内を彩り,また野鳥の餌ともなる果実をつけるガマズミ属3種(ガマズミ,コバノガマズミ,ミヤマガマズミ)とサワフタギの開花・結実に影響する要因を愛知県名古屋市緑区の都市近郊緑地で調査した.4.42haの緑地内に生育する樹高50cm以上の個体と開花個体全ての位置・立地(微地形・斜面方位),個体サイズ,開花・結実の有無・花序数,夏期の光条件(樹頂部での全天写真からMean Open ,UOC,SOCを算出)を記録した.また同種開花個体間の距離等をGIS上で算出した.これらの要因を用いてツリーモデルで種ごとの開花・結実条件を分析した.ガマズミは66個体中46個体(70%)が開花し,結実したのは26個体(40%)であった.コバノガマズミは126個体中96個体(76%)が開花し,結実したのは51個体(40%)であった.ミヤマガマズミは23個体中15個体(65%)が開花し,結実したのは13個体(56%)であった.サワフタギは81個体中78個体(96%)が開花し,67個体(83%)が結実した.ガマズミは,SOCが23.1%以上または(地上部20cmにおける)幹断面積合計が191.9mm2の個体で開花し,UOCが22.15%以上または樹高が1.99m以上の個体で結実する傾向にあった.コバノガマズミは,幹断面積合計が49.06mm2以上の個体で開花し,SOCが19.85%以上の個体で結実する傾向にあった.ミヤマガマズミは,樹高2.03m以上の個体で開花し,開花した個体のほとんどは結実した.サワフタギは開花率・結実率ともに高く,ツリーモデルは得られなかった.これら4種の中で最も光を要求するガマズミの開花・結実条件を維持できるような間伐等をすることによって,これら4種の安定した開花・結実が望めると考えられた.