| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-055 (Poster presentation)
多くの生物において、どのようにクラッチ(一回に生産される配偶子)内で配偶子サイズのばらつきが生じているのか、配偶子サイズがどのように制御されているのかは分かっていない。クラッチ内の配偶子サイズのばらつきは両賭け戦略または生理学的制約により生じるとして議論されているが、実験的証拠はしばしば対立している。
雌雄異株で雌雄配偶子がわずかに異型な海産緑藻エゾヒトエグサ(Monostroma angicava)はシンプルな配偶子生産メカニズムを持つ:配偶体の体細胞がそれぞれ一つの配偶子嚢になり、それは同調的な等割によりサイズの等しい配偶子を生産する。この等割の回数はばらついており、配偶子のサイズを変化させ得る。我々は各クラッチにおける配偶子嚢サイズを測定し、等割回数を計測することで配偶子サイズを推定した。
我々は雌雄両方で大きい配偶子嚢がより多く分割する傾向があることを発見した。一方で、同じ分割回数であれば雄配偶子嚢の方が雌配偶子嚢よりも小さいことがわかった。よって、配偶子生産における分割回数のばらつきは配偶子サイズをばらつかせるというよりは調節している。クラッチ内の配偶子サイズのばらつきはクラッチ内の配偶子嚢サイズのばらつきに起因していた。従って、配偶子嚢サイズのばらつきを増加させる要因がクラッチ内の配偶子サイズのばらつきも増加させる可能性がある。