| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-104  (Poster presentation)

ハナバチ類の蜜胃内容物および花粉荷に含まれる真菌類の多様性

*平尾章, 出川洋介(筑波大・菅平実験所)

 送粉共生系に花蜜内微生物が介入しているという知見が報告されており,植物-送粉者-微生物の三者間に拡張された生物間相互作用が注目されている.花蜜内にはMetschnikowia属の酵母などの独特な真菌類が生息しているが,これらの花蜜微生物の分散には訪花者が貢献していると考えられている.本研究では,主要な訪花者である社会性ハナバチの花粉荷および蜜胃内容物に含まれる真菌類を調査し,花蜜内に含まれる真菌群集と比較することで,花蜜微生物の分散プロセスを検討する.
 社会性ハナバチは,体表に付着した花粉を団子状に固めて花粉荷を作るが,その際に蜜胃に蓄えられた花蜜を吐き出して,つなぎとして用いる.花粉荷の中にはMetschnikowia属の酵母(特にM. reukaufiiM. cf. lachancei)が多産した.この2種は同所の花蜜,蜜胃内容物にも優占していた.一方,ケカビ門の糸状菌も出現したが,特にMucor属のM. falcatusが複数試料より高頻度に検出された.本種は報告例の稀な種であり,現存する2株中の1株はミツバチ類の巣より分離されていた.本種は社会性ハナバチと深く関わりを持つ可能性があるが,同所の花蜜,ハナバチの蜜胃内容物からは検出されず,自然界でのハビタットを今後詳細に調査する必要がある.


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