| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-107  (Poster presentation)

マウス一生における腸内細菌叢変動とその特徴

*高安伶奈, 須田亙, 服部正平(理研IMS)

 ヒト常在細菌叢は様々な宿主生理と関連していることが報告されており、様々な疾患や生理現象を前向きに研究する動きが出てきている。しかしながら、ヒトを対象とした研究での前向き研究は非常に時間がかかる上、生活習慣や遺伝的背景など菌叢に関わる多くの因子があり、特定の菌叢変動と生理現象の関係を直接的に示すことは難しい。そこで我々は、SPFマウスを用いて、その一生における菌叢変動を数日おきに観測することで、マウスの生後直後から死亡にいたるまでの様々な生理現象と、腸内細菌叢の変動の関連性を調べている。生後2週間までのマウス腸内の菌の個体数分布は成体と大きく異なり、ヒト乳児の報告と同様に1種独占に近い分布となることが明らかになった。一方で、生後20日を過ぎても菌叢構造は緩やかに変化を続け、生後3ヶ月程度でほぼ一定となったが、その後も変化速度が上昇することが何度かあった。現在もサンプリングを続けており、このように菌叢の変動速度と、ホストのメタ情報を複合的に見ることで、どのようなホストの生理現象が菌叢変動と関連しているのか明らかにしつつある。発表では、マウス一生における腸内細菌叢変動とホストとの関係性について、最新の知見を紹介する。


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